不倫相手に離婚の慰謝料は請求できない
離婚時の精神的苦痛に対する慰謝料を、別れた配偶者の過去の不倫相手に請求できるかどうかで注目された、民事訴訟の判決が19日、最高裁第3小法廷(宮崎裕子裁判長)で言い渡され、「不倫相手に離婚の慰謝料は請求できない」との初判断を示した。
今回の裁判の詳細
原告の男性は妻の不倫に2010年5月に気付いたが、子供の為に結婚生活を継続していた。しかし2014年に妻が家を出て別居生活となり、2015年2月に調停で離婚が成立している。その後、2015年11月に元不倫相手の男性に慰謝料を請求する裁判を起こした。
元夫側の弁護士は「慰謝料請求権は離婚調停が成立した2015年2月25日から初めて消滅時効が進行する」とし、1審、2審は元夫側の主張を支持し、不倫相手側に約200万円の支払いを命じた。
内容としては1審判決は「不貞行為の発覚をきっかけに婚姻関係は悪化し、離婚に至った」と認定。消滅時効の起算点である損害を知った時は「離婚成立時」であるとする別の確立した最高裁判例を引用し「不貞行為により離婚を余儀なくされて精神的苦痛を被ったと主張する場合、損害は離婚成立時に初めて分かる」とし、2審もそれを維持した。
この裁判の注目点は、配偶者が不倫をした際に不倫相手に対しては、離婚を関係なく不貞行為の慰謝料を請求できるが、離婚した場合に離婚に対する慰謝料まで請求できるかどうかと言う所だった。
もう1つの注目点としては、原告男性が元妻の不貞行為を知ってから3年以上経っていた点だ。民法724条において、不貞行為による損害賠償の請求権は「損害および加害者を知った時から3年間行使しないときは消滅する」と規定して為、不倫相手側は「時効により請求権は消滅している」、更に「不倫があったとしても結婚生活が破綻するかどうかは夫婦によって異なる。第三者に離婚慰謝料を請求する事は相当では無い」と反論した。
時効成立は不倫発覚時から3年か、離婚成立時から3年か、この裁判において1番の争点はここになったが、今回のケースでは「特段の事情がない限り、請求できない」との判断が下された。
浮気・不倫相手に慰謝料請求ができる場合とできない場合
認められるケース
■既婚者である事を知った上で肉体関係を持つ
■既婚者であると気付く状態であるにも関わらず肉体関係を持つ
■既婚者と知っていたが婚姻関係は破綻したと思っていた。しかし、当たり前に考えれば破綻していない事に気付ける状態にも関わらず肉体関係を持つ
■不倫の不貞行為によって、これまで円満だった夫婦関係が悪化し離婚した
■不貞行為は確認出来ないが、夫婦関係が破綻する程の交際を行っていた
認められないケース
■出会い系サイトやマッチングアプリで知り合い、お互いの事を知らず既婚者と気付ける余地が無いまま肉体関係を持つ
■強姦など自分の意志と反した肉体関係を持った
■夫婦仲が非常に悪い、別居生活を行うなど、既に婚姻関係が破綻している

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